元気になったおじいちゃんと

ちょっといい話-幸せのチョークチェーン         トップ
   「うちの主人は犬が大好きなんです。そして、犬を連れて、
  家族で大仙公園を散歩するのが主人の夢なんですって。
  でも、私、犬苦手なんです。」という浜野一代さんが、2年前に
  思い切って犬を家に入れることになりました。ご主人の職場で
  ラブラドールのミックス犬が生まれ、犬好きのご主人の説得に
  犬とともに生活することを始めたのです。
  ワンコの名前は家族みんなで数日かけて考えました。そして
  「陸」に決定。家族の一員となったのです。ここまでだったら何が
ちょっといい話かわからないかもしれません。
でも、初めて陸が浜野家に来た日、名前も決まっていない陸を抱きかかえて、「平松さん。」と言って
うちの家の前に立っていた浜野さんの姿が今でも私は忘れられません。この陸が浜野家に来てから、
紆余曲折いろいろあったようですが、傍目から見ると、結果的には家族みんなが前よりもっと幸せに
なったように思います。その紆余曲折の一部をみなさんに紹介したいと思います。           


           
      
  陸(りく)
      1998年7月5日生まれ
        オス ラブラドールのMIX
        好きなもの:ごはん、散歩、車椅子
        得意なもの:穴掘り
                           お友達もたくさんいます(七夕)
                          

 
 浜野家:うち(平松家)の家の真向かいのお宅です
陸のおじいちゃん…一代さんのお父さん。犬好き。病気のため少しからだが
不自由で、陸が来るまでは一代さんの介護が必要でした。
陸のお父さん…一代さんのご主人で犬が大好き。犬を連れて、いつか家族
で大仙公園を散歩することを望んでいた。
陸のお母さん…一代さんのこと。犬が苦手、というか、小さい頃からペット
といっしょに生活をするという経験なし。ご主人の夢もかなえてあげたいと、
犬を飼う話にOKを出す。

陸のお姉ちゃん…娘さんで社会人、犬は苦手。
陸のお兄ちゃん…大学生の息子さん。


当然、お母さんは最初犬をさわるのも苦手です。母犬と離したのが少し早かったので
、心配もあり初め陸はご夫婦の寝室で寝ていました。そのとき、お母さんは寝ている
ときに陸が近寄ってこないように自分がサークルに入って寝ていたそうです。(今で
は笑い話なのですが) 一方、お父さんは、陸が来たうれしさにか、結構甘やかして
いました。本を読んで研究はしていたのですが、今となって考えてみると、みんな犬
の扱い方をあまりわかっていなかったのです。
ワクチンも済み、お散歩デビューを果たした後、朝はお父さんと散歩、昼間はおじい
ちゃんの車椅子の横についてお散歩。陸はおじいちゃんが大好きで、お腹が空けばお
じいちゃんにおねだり。そして夜はお父さんと散歩。その合間にRyoと庭で自由に遊
ぶという毎日が続きました。庭はその年の冬には、しっかり破壊され……。それで、
済めば良かったのですが、翌年の春、あるとき陸は家族に向かって攻撃をし始めまし
た。陸の「アルファ化」です。
アルファ化とは、犬が人間を自分より下の地位にいると認識し、自分が上であるとい
うことを示すために威嚇するなどの行動をおこすこと。権勢症候群・アルファシンド
ロームとも言います。
この攻撃を抑えたのは、大学生のお兄ちゃんでもなく、実はおじいちゃんだったので
す。つまり陸は、家族みんなが介護や世話をするおじいちゃんを家族のボスと認識し
、その次に世話をしてもらえる自分を2番手と思い始めていたのです。

そこで、浜野家では家族会議を開き、いろいろな選択肢の中から、陸を訓練すること
に決定しました。
タウンページで調べ、ヨーロッパ式(ほめて教えることを重視し、訓練士のアドバイ
スを受けて飼い主が自ら行う)の訓練で、出張してくれる訓練士を捜しました。実際
の訓練は、週3日各1時間で、期間は1か月間。費用は約5万円だったそうです。い
つも家にいるお母さんとお姉ちゃんが主に参加し、服従訓練を行いました。
公園で陸の訓練する姿を私はRyoといっしょに隠れたところから見ていました。その
ようすは、まさに犬よりも人間の方が1時間訓練されているみたいでした。犬にコマ
ンドを与えて、休む暇なく走る。犬が命令に従えば走らなくていいのですが、従わな
いときはすぐにダッシュというふうに。
また、陸は訓練士の指示でチョークチェーン(リードを引くと首がしまる構造のくさ
りの首輪)を使うようになりました。訓練とチョークチェーンによって犬嫌いの人が
「犬を扱える」という自信をつけたように思えました。お母さんは散歩もチョークチ
ェーンで行きます。陸は脚足(飼い主の左横について歩く)をして歩いています。も
ちろん、道でマーキングもしません。わずか1か月です。実をいうと、そのころ私た
ち夫婦はそれなりにRyo(うちのゴールデンレトリーバー)の躾をしていましたが、
家の中では何でも言うことをきくのに公園へ行くと引っ張りまわすRyoをちょっと持
て余していました。自己流の躾にやや行き詰まりを感じていました。これを見てプロ
の訓練士の偉大さを痛感し、Ryoの訓練を考えるようになったのも事実です。
1か月後、訓練が終わって、陸はお母さん、お姉ちゃんとも散歩に行けるようになり
、家族が陸を恐れなくなりました。その結果、以前と同じように家族みんなが陸に接
することができるようになりました。

チョークチェーンについては是非があると思います。最近テレビのニュースで
話題になったようなひどい預かり訓練所に入れられ、チョークチェーンで締め
上げられ、尻尾を巻き込みながら何かをさせられるワンちゃんにとっては不幸
のチェーンになるかもしれません。でも、陸にとってチョークチェーンは幸せの
チェーンではないかと思います。家族会議によっては、その選択肢に「捨てる」
「処分する」などがあっても不思議ではないはずです。それが、訓練という
選択肢を選んだために犬も人間も幸せになったのではないでしょうか。もし、
陸を手放していたら、家族みんなの心のどこかにやはり痛手が残るはずでは
ないでしょうか。この騒動が一段落して、一代さんは今までを振り返ってみると、
陸の世話は大変だったのですが、なんと、おじいちゃんが前よりも元気になり、
介護が以前ほど必要でなくなったということに気がついたそうです。セラピー
ドックの話は雑誌で読んだり、テレビなどで紹介されたりしていますが、まさに
、陸はセラピードックの働きを果たしていると思うのです。
陸はおじいちゃんの
乗る車椅子の横について散歩するのが好きなのですが、今では車椅子が
あまり必要ではなくなって、陸は少し残念かも??最近、一代さんは、
「私のこれからの幸せは、犬とともにある。」とまでおっしゃっています。

自分のワンちゃんに悩みを持っている方、正しい選択肢を選べば、家族も
ワンちゃんもみんなが幸せになれます。一人で悩まないで、いろいろ相談
してみては。